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16.猫連れ引越し大作戦

 これまでのドタバタで疲れきっていた私に代わって、ここから先はJKが仕切ることになった。JKは何度も引越し経験があるので、今住んでいるマンションの管理会社への連絡、ガス・水道・電気・電話の手続き、引越し業者の手配など、着々と進んだ。引越し日は、12月29日と決まった。


 さて、ナナンをどうやって新居に連れて行くかが一番の問題だった。引越してからではうまく捕まえられないかもしれないし、引越し当日は業者が来たりして騒がしいから寄り付かないかもしれない。猫関係の掲示板や雑誌に載っていた猫連れ引越し経験談を参考にして、引越し前日から動物病院に1泊預けることにした。

 以前お世話になった動物病院にJKが電話をかけると、預けること自体はOKだったが、その1週間くらい前に予防接種を受けてくださいといわれた。ということは2回も続けて動物病院に行かなきゃならないのか〜と思ったら、またちょっと不安になった。とりあえず、この前のより大きいキャリーバッグを新たに買っておいた。


 12月21日。この日は朝から大雨だった。午前中A不動産へ行き、ようやく本契約をした。契約書には、あらかじめ「ペット飼育を禁止する」旨が印刷されていたが、そういう項目はすべて削除してもらった。やはり何かあったときは契約書がものをいうだろうから、念には念を入れた。それと、契約書とは別にペット飼育に関する念書みたいなのを書いた。まあ、常識の範囲内でふつうに暮らせば問題なさそうな内容ばかりだったので、安心した。

 夕方6時ごろ、ナナンを病院へ連れて行くことにした。キャリーバッグに入れたら、前と同じように「ナァウ、ニャアオ」と不安げな低い声で鳴き続けた。しかし今日は雨音のほうがうるさいので、あまり鳴き声を気にせずさっさと家を出られた。

 動物病院では健康診断と予防注射をしてもらった。ナナンは、診察台に乗ってからずーっと腰が抜けたような格好でへたれっぱなしだった。思わず吹き出す私たち。診察中にゃーにゃー鳴き続けていたが、逃げ出したり引っかいたりはしない。ある意味おとなしくて診やすかったみたいだ。爪まで切ってもらった。

 獣医さんがみたところ、ナナンの年齢は2歳未満だろうとのこと。ようやく年齢がわかってよかった。体重は4.3キロ。ちょっとおデブちゃんだ。先生は、「お前もこれで晴れて家猫だなー、よかったなー」とナナンに言った。

 会計のとき、成虫用と卵・幼虫用のノミとり薬も処方された。先生が言うには、「市販のノミとり薬は(猫の)体によくないから、今後は病院で買うようにしてください」とのこと。ちなみに、避妊手術に行ったとき「動物愛護値引き」をしてくれたのだが、今回もやっぱり値引きをしてくれていた。いい病院だ。


 12月28日、引越しの前日。午前中、新居へAV機器を運ぶ。いったん自宅へ戻って、夕方まで荷物を梱包。それから再びパソコン類を持って新居へ。引越し業者に運んでもらう前に、壊れると困るものだけ自分たちで運んだのだ。

ナナン、ノラ猫最後の日

 帰ってきてから、いよいよナナンを獣医さんに預けに行く時間になり、だんだん緊張してきた。ゴハンを食べさせて、適当な頃合を見計らう。JKがナナンをなでながら「まあ、死ぬまで面倒みてやるからさ。あと10年ぐらいは付き合ってあげるよ」と話しかけた。

 まずJKが抱き上げてバッグに入れたが、チャックを閉める前にナナンが飛び出してしまった。もう一度入れたが、またまた失敗。もうすでにナナンは例の不安げな低い声で鳴き始めている。ゲッ!どうしよう。緊張が走る。そこで選手交代。JKがバッグを押さえ、私がナナンを捕まえてバッグに押し込み、すばやくチャックを閉めてしまった。大成功。

 ナナンは「ニャアウ、ナァオ」とパニックな鳴き声を出していたが、この家にはもう二度と戻って来ないのだからと開き直り、さっさと車に乗せて出た。玄関を出るとき少し鳴いたが全然問題なし。マンションの入り口に人がいたけど気がつかれなかった。

 こうしてナナンは無事獣医さんに預けられた。でもまだまだ荷物の箱詰めは終わっていない。結局寝たのは朝4時ごろだった。


 引越し当日は朝7時起床。朝ごはんを食べようとしているところへ、私の両親が手伝いに来た。両親もおにぎりを買ってきたので、一緒に食べた。

 引越し屋さんは9時に来る予定だったが、30分ぐらい早く来てくれた。さっそく荷物の詰め込みが始まる。若者ばかりでキビキビと動き、早いこと早いこと。3分の2ほど詰めたところで、私は父の車で新居へ移動した。鍵をあけて待つこと数分、すぐトラックがやって来た。

 ひととおり荷物が運ばれ、引越し屋さんが帰ったところでお昼休憩。伯母が山ほどおにぎりを作って来てくれたので、それを5人で食べた。まだエアコンを取り付けていなかったが、日当たりが良いため日光だけで十分暖かかかった。

 午後は、とりあえず生活するのにすぐ使うものだけ出し、片付けた。ナナンを入れるために買ってきたケージを組み立て終わると、もう7時半になっていた。いよいよナナンをお迎えに行かねばならない。伯母はひとあし先に帰り、両親は私たちと一緒に動物病院へ行った。


 ナナンは、やっぱり興奮して鳴いていた。母が、猫の気持ちを静める方法はないか先生に聞くと、「フェリウェイ」というものを紹介してくれた。「アースノーマット」みたいに、リキッド状のフェロモンを拡散器に取り付け、コンセントに差し込んでおくと、猫が安心するにおい(フェロモン)が出るものだという。先生自身、猫を8匹も飼っていて、自分でも試しているがかなり効くという。それを買って帰った。

これがフェリウェイ。コンセントに差し込み、右上の赤いスイッチを入れると猫フェロモンが出る。スプレータイプのフェリウェイもあるらしい。

 新居に着くと、ナナンは不安げに鳴いた。バッグを開けてやってもすぐには出てこない。不安げな低い声で「ニャアオ、ニャアウ」と鳴くのを聞いて、また胃が痛いような気がしてきた。ケージにトイレと毛布と水とナナンを入れて、上からカーテンをかぶせて暗くしてやった。私たちが夕飯を食べている間鳴いていたが、やがて静かになった。さっそくフェロモンが効いてきたのか?と安心した。

 でもそれもつかの間、両親が帰ったあとまた鳴くようになり、それからずっと断続的に鳴いていた。お風呂に入り、寝室で寝てはみたものの、2人とも鳴き声が気になって眠れなかった。ようやく静かになったのは午前4時だった。

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